【世界動乱】中朝首脳会談、呉越同舟の思惑とは? 米の“戦争人事”に戦慄する正恩氏
【世界動乱】中朝首脳会談、呉越同舟の思惑とは? 米の“戦争人事”に戦慄する正恩氏
夕刊フジ
先月末、世界が驚く出来事が報じられた。
その動向が20日間ほど分からなかった北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が、中国の習近平国家主席の招きに応じて北京を訪問し、中朝首脳会談を行ったのだ。専用列車で鴨緑江(オウリョッコウ)を越える正恩一行の動きなどがリアルタイムに報じられなかったのは、ヒットマンによる暗殺を恐れてのことか。
正恩氏はぎこちない笑顔で習氏と握手し、屈辱的な猿芝居を打った。この数カ月、「千年の敵」呼ばわりしていた隣国について、「初の外国訪問が中国の首都となったのは当然であり、(訪中は)朝中親善を引き継ぐ私の崇高な義務だ」と語った。
“宝剣”と例えてきた核についても、「金日成(キム・イルソン)主席と、金正日(キム・ジョンイル)総書記の遺訓に照らし、『朝鮮半島の非核化』の実現に力を尽くす」と言ってのけた。メモを取る、律義な姿勢も見せた。
もちろん、北朝鮮メディアは、このような話や姿は報じない。
正恩氏が、北京行きを決断した背景は、習政権に「経済制裁の解除」を懇願したことが一つ。加えて、ドナルド・トランプ米大統領が、4月27日の南北首脳会談、5月の米朝首脳会談を見据えて決めた、新たな人事と無関係ではないはずだ。
トランプ氏は、金王朝に近い江沢民派の楊潔チ政治局員と密接だった、穏健派のレックス・ティラーソン国務長官を切った。「対北対話派」の米中ラインが消滅した。後任長官は「対北強硬派」のマイク・ポンペオCIA(中央情報局)長官が指名された。
ハーバート・マクマスター大統領補佐官(国家安全保障問題担当)も解任され、後任にはネオコン(新保守主義派)の代表格、ジョン・ボルトン元国連大使を充てる。
ボルトン氏は、ブッシュ(子)政権で、国務次官や国連大使を務めた。2003年に始まったイラク戦争で、サダム・フセイン政権を倒壊させた中心人物の一人とすれば、正恩氏が震え上がってもおかしくはない。
習氏にも、中朝首脳会談に臨んだ理由がある。
国家主席に就任して5年、金王朝との関係は史上最悪だが、隣国を「捨てる」選択肢などないからだ。習氏が超えたい存在=毛沢東主席が「唇亡歯寒(唇亡びて歯寒し)」の血盟関係に例えた朝鮮半島に対し、中国が主要プレーヤーどころか、影響力を失ってはならないとの判断からだ。
中国が潜在的に、北朝鮮の「核・ミサイル」や「生物化学兵器」の脅威にさらされている現状もある。習氏が掌握できておらず、金王朝とウィンウィンの関係を続けてきた旧瀋陽軍区(現北部戦区)部隊によるクーデターの恐れと、旧満洲国地域が無政府状態に陥る危険性の回避など、放置できないリスクが絡み合っていたからだろう。
つまり、金王朝と“表層的”であれ関係改善の一歩に踏み出さなければ、習氏の「終身皇帝」への道すら危うくなるということでもある。
■河添恵子(かわそえ・けいこ) ノンフィクション作家。1963年、千葉県生まれ。名古屋市立女子短期大学卒業後、86年より北京外国語学院、遼寧師範大学へ留学。著書・共著に『豹変した中国人がアメリカをボロボロにした』(産経新聞出版)、『「歴史戦」はオンナの闘い』(PHP研究所)、『トランプが中国の夢を終わらせる』(ワニブックス)、『中国・中国人の品性』(ワック)など。
P
㊟いつもながら中朝両国に鋭い分析力。腐れパンダ醜など今直ぐ地球上から消えて欲しいのだが。。。
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