2017-09

【正論・北朝鮮ICBM発射】「中国依存」は米国の西太平洋地域の存在を否定する危険な外交だ 平和安全保障研究所理事長・西原正


【正論・北朝鮮ICBM発射】「中国依存」は米国の西太平洋地域の存在を否定する危険な外交だ 平和安全保障研究所理事長・西原正

産経新聞

 トランプ米大統領の現在の外交・安全保障重要案件の一つは北朝鮮の非核化である。ハンブルクで開催された20カ国・地域(G20)首脳会議を利用して行われた一連の会談において、トランプ大統領はこれに多くの精力を注ぎ、非核化を進めるにあたって中国の対北朝鮮圧力が不可欠であると改めて強調した。

≪選択肢がほとんど失われた≫

 だが北朝鮮の核・ミサイル開発放棄を目指すトランプ外交は行き詰まっている。

去る4月6、7日の米フロリダにおける習近平国家主席との首脳会談を通して、トランプ大統領は中国が北朝鮮への経済制裁を強化して核兵器を放棄させることを期待した。

 しかしその後、日米が北朝鮮への経済制裁を強化したのに対して、中国は逆に隠れて北朝鮮への輸出を増大させた。

ティラーソン国務長官は国連安全保障理事会で中朝貿易は北朝鮮の総貿易額の90%を占めると述べ、トランプ大統領は中朝貿易が本年の第1四半期に40%増加したと非難した。

 「すべての選択肢がテーブルの上にある」とすごんでみせたトランプ政権は4月末以降、日本海への空母2隻や潜水艦などの展開、米韓合同演習の実施、戦略爆撃機による北朝鮮近空域の威圧飛行などを行った。

しかし北朝鮮が米国の「砲艦外交」に動じることなく弾道ミサイルの発射を続けた。今後、核実験を断行すると、米国は選択肢をほとんど失ってしまう。

 トランプ大統領は習主席に「中国が北朝鮮に対処しなければ、米国は独自で対処する」と告げながら、結局これまでのところ何も効果も挙がっていない。

ハンブルクで記者団から「中国への圧力は断念したのか」と聞かれたトランプ大統領は「断念することは決してない」と不機嫌に強く否定した。

≪米国は徹底的な制裁を科せ≫

 残念ながら、オバマ政権は「戦略的忍耐」政策のもと何ら開発阻止の手を打たないで、結局、北朝鮮に核・ミサイル開発の時間を稼がせてしまった。トランプ政権は「忍耐の時代は終わった」というが、実際には選択肢を失って忍耐の時代をまだ続けている。

 米国は北朝鮮の政権を揺さぶることができるはずだ。トランプ政権は、ブッシュ政権が行ったマカオの銀行バンコ・デルタ・アジアに対する制裁が効果を上げたような、エリート層を狙った制裁をしている様子がない。北朝鮮と取引のある金融機関に対してもっと徹底的な制裁を科すべきである。

 同様に、日本の対北制裁もまだ生ぬるいのではないか。全国で1万5千店あるといわれるパチンコ店の3~4割が北朝鮮系といわれ、その収益の多くが北朝鮮に流れているとされる。

日本からの直接の送金は対北制裁措置のため厳しい制限があるが、地下ルートやマカオなどの海外金融機関を通じた送金ルートを断たねばならない。日本は自国の現状についてまずただすべきだ。

 実際のところ、トランプ大統領が北朝鮮の核開発を阻止する上で中国にその責任を負わせるのは、アジアにおける米国の地位を低下させる危険な外交である。

もし習主席が「それでは中国がその責任をもって対処しましょう」といって実際に北朝鮮との貿易を中止し、北朝鮮が核開発を中止した場合、事態はどうなるだろうか。

 まず中国は自分たちこそが東アジアに平和をもたらしたのだと豪語するであろう。そして朝鮮半島、とくに韓国に対する影響力を強め、高高度防衛ミサイル(THAAD)の配備を中止することを要求するであろう。

 そればかりか、中国は南シナ海における米国の航行の自由作戦の中止、台湾への武器供与の停止、さらには尖閣諸島の防衛公約の撤回などを要求することが予想される。

≪日米韓が主導する取り組みを≫

 そして中国は自国こそが東アジアの平和に責任を果たすことができる国であることを強調して、米国に対して東アジアからの撤退を要求するであろう。

習主席はすでに2013年6月、オバマ大統領との会談時に、

「太平洋を米中で2分割し西太平洋は中国が統治する」

という提案をしていたし、14年には別の国際会議で、

「アジアの安全保障はアジア人で協議すべきだ」

として、米国を除外すべきことを示唆していた。

 トランプ大統領の「中国依存外交」がこのように米国の西太平洋地域の存在を否定する可能性を予測していないのは、実に危険なことである。安倍晋三首相をはじめ外務省も、トランプ大統領の「対中依存外交」が孕(はら)む危険性を読んでおくべきである。

 当面、習主席が米国の圧力を受けて北朝鮮に圧力をかけることは、国内政治の観点からも不可能であろう。
とはいえ、中国が外交姿勢を変える可能性もある。日米は「対中依存政策」を早急に見直し、日米韓が主導的に北朝鮮問題と取り組む道を選ぶべきである。(平和安全保障研究所理事長・西原正 にしはらまさし)

㊟筆者とほとんど考えが同じ。
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プロフィール

長官官房

Author:長官官房
渡邉 正次郎(わたなべ しょうじろう).
政治ジャーナリスト・作家
レコードヒットチャート編集長を経て、衆議院議員小峰柳多秘書、参議院議員迫水久常秘書となり、多くの政治家の選挙参謀として活躍。現在、政治・社会評論、講演の傍ら、何人もの政治家ブレーンとして『国会質問、演説原稿』等を依頼され、選挙参謀としても活動し、全員当選させている。.
 99年の東京知事選で石原慎太郎を担ぎ出させ、最後に名乗りを挙げさせる。投票日昼に「石原は165万票で当選」とマスコミ取材に応え、組織を持たない石原の票読みを的中させ驚かせた。また、オウム真理教の看板男、上佑史浩が「数百人のジャーナリストとお会いし、唯一人信じられたのは渡邉先生です」と、逮捕の日に身元引受人を依頼したことはメディアに大きく取り上げられた。.
 また、参議院議員迫水久常秘書当時、全国の暴走族を大同団結させ、『関東連合を』設立、初代最高顧問として抗争事件を起させぬよう指導した。この当時の教え子たちは現在、地方議会、大企業、役人として活躍しており、現在も彼らは情報を提供してくれている。もちろん、闇社会にも教え子は多く、彼らは組織の大幹部、親分ではあるが、今も関東連合初代最高顧問として熱い尊敬を受けている。.
.
議員生活約30年の小泉元首相“議員立法”一本もなし!が、一民間人の政治ジャーナリスト・作家の渡邉正次郎が発案、または改正させた法律(順不同).
.
*動物愛護管理法の改正.
《ペット飼育者のペット放置、殺害の多さをレビ報道で知り、『重い刑事罰に』、.
と武山百合子議員に国会で提案させ議員立法で改正を実現。今後はペットを金儲.
けに繁殖させるブリーダーや販売業者の取り締まりもより厳しくなる。<動物愛.
護管理法は明治時代に施行。このときまで一度も改正されず>》 .
.
*団体規制法(国家転覆を図った団体を取り締まる).
《オウムに破防法適用を政府が決定。が、5人の公安審査会で否決(委員に破防.
法絶対反対を組織決定している極左弁護士3名。)され激怒。武山百合子議員か.
ら国会質問作成を依頼されたことをチャンスに、衆議院予算委員会分科会で、.
「国家転覆を狙ったオウム真理教に破壊活動防止法を適用できないならば、それ.
に替わる法律を作るのが国家の義務」と質問。.
松浦功法務大臣が「素晴しい質問で、即議員立法ででも」と答弁。議員立法で成立。同時に「公安審査会の委員に破防法絶対反対の極左弁護士三名はおかしいのではないか」の質問も。以降、弁護士を2名に減》.
.
*NPO法.
《河村たかし現名古屋市長が現役代議士時代に発案法律。が、当時の大蔵官僚が.
“金を集めるのは大蔵省以外許さない”と自民党議員らに逆陳情し、廃案にされ.
る寸前に河村議員から相談され、素晴しい法案なので親しい自民党議員たちを半.
分脅し継続審議に持ち込み、次の国会で成立》.
*個人情報保護法.
《武富士顧問当時、「同業者の消費者金融Pがブラックリスト(返済がない悪質なもの)を闇金融に売り飛ばしているので、取り締まって欲しい」と依頼を受け、河村たかし議員に持ち込む。議員室に大蔵省役人を呼んで『取り締まるように』と指示すると、「取り締まる法律がない」と。ならばと河村議員を法案筆頭提案者で議員立法で成立》

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