こりゃ参った!!GPS捜査の自粛、警察庁指示 幹部「最も厳しい判決」
こりゃ参った!!GPS捜査の自粛、警察庁指示 幹部「最も厳しい判決」
朝日新聞
GPS(全地球測位システム)端末を使って追跡する捜査はプライバシーを侵害するため、新たな法律が必要だ――。
最高裁大法廷が15日に示した判断は、GPS捜査で得た内容を有力な証拠としてきた捜査機関に衝撃を与えた。一方、新たな捜査技術に歯止めが必要と指摘してきた専門家や弁護士からは、評価の声があがった。
• 令状のないGPS捜査「違法」 最高裁が初めての判断
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「いくつか想定していた中で、一番厳しい内容だ」。警察庁幹部は判決を重く受け止めた。同庁は判決を受け、車両へのGPS捜査を控えるよう全国の警察に指示した。
警察庁はGPSの使用を令状なしにできる任意捜査と位置づけ、2006年6月に運用要領を都道府県警に通達した。
「他の捜査では追跡が困難」などと要件を定め、略取誘拐、逮捕・監禁、強盗・窃盗などのほか「社会的危険性や社会的反響が大きい犯罪」も対象にしてきた。判決をうけ、同庁は要領の見直しを検討する。
誘拐や監禁では被害者の居場所が分からないケースなどを想定したとみられるが、捜査関係者によると、窃盗事件がほとんどだという。
ある捜査幹部はGPSを使った捜査の実情を明かす。民家を狙った連続窃盗事件。犯行グループは高速道路だけではなく市街地の一般道でも時速150キロ以上で逃走。
地下部分に分岐点があるルートを選び、追跡をかわす。途中で車両のナンバーを付け替える。夜間はヘリによる追跡もできない。メンバーはDNAの試料を残さないため、髪の毛や皮膚片などを現場に一切残さないよう頭や顔や手を布で覆うこともあったという。
捜査幹部は、
「尾行や犯行場所を予想して待ち受ける捜査、遺留物からの割り出しなどでは逮捕できない事件に限り、最後の最後の手段としてGPSを使ってきた」
と強調する。ただ、別の幹部は、
「要件を厳しく定めたが、現場では安易に使っていた面もある」
と言い、
「手法を取り入れた頃に比べて位置情報の精度が上がり、プライバシーに対する考え方も変わった」と話す。
警視庁の捜査幹部は「犯罪者から国民の財産を守るのが警察の仕事だ」と話す。今回の判決でGPSが使えなくなると検挙が困難になると言い、
「どれだけの店や車両が壊され、財産が奪われるのか、想像してほしい」
と訴える。窃盗担当の捜査員は、
「捜査手段が縛られ、手足をもがれたカニと一緒だ」と困惑。「警察がGPSを使えないことに乗じて犯行を加速させる可能性がある。何か次の手を考えなければいけない」と話した。(編集委員・吉田伸八)
■検察庁「無罪求刑出るかも」
「予想を超えている」。検察庁でも判決は驚きをもって受け止められた。
複数の幹部によると、GPSの位置情報で得られた被告の動向そのものを裁判に証拠として提出する例は少ない。だが、例えば窃盗事件で位置情報をもとに警察が張り込んで犯行を撮影した映像を、法廷に提出することはある。
「取り調べ可視化で自白重視から客観証拠重視に変わる中、犯人特定の重要な証拠だ」とある幹部。今回の判断でこうした証拠が使えなくなるのでは、と心配する。
すでに起訴した事件について、別の幹部は、
「GPS端末を利用して得た証拠以外に有力な証拠がないようなら、無罪を求刑するケースも出てくるかもしれない」と話した。(久保田一道、小林孝也)
■被告「ルール違反正してくれた」
「確かに僕は悪いことをした。でも警察だったら何をしても許されるのか。ルールを犯したことをただしてくれてよかった」。今回の裁判の当事者、岩切勝志被告(45)=保釈中=は判決後、取材にそう語った。
自分の車にGPS端末が設置されていると気づいたのは、窃盗容疑で逮捕される2カ月前の2013年10月ごろ。
共犯の男性のバイクに端末が付けられていたため、自分も車の底を見ると、端末を巻いたビニールテープが垂れ下がっていた。警察がGPSを使うといううわさを聞いたことがあったが、「本当だったんか」と驚いた。
取り調べで当初、警察官はGPS捜査を認めなかったが、起訴後の公判前整理手続きで検察官が認めた。
犯行時間帯ではない昼間に、事件と無関係の友人と会っていたことも把握されていた。交際女性の車にも端末が設置されていた。
「身ぐるみをはがされたような」気持ち悪さを覚え、裁判が長引くのを承知で捜査の不当性を訴えた。初公判から3年。「違法捜査」の判決が出ても、自動車など約410万円相当を盗んだとして懲役5年6カ月の実刑は変わらないが、「処罰は当たり前。これで捜査が変わるなら十分です」という。
弁護団は判決後に会見し、主任弁護人の亀石倫子(みちこ)弁護士は「被告人の問題意識があったからこの判断を得ることができた」と振り返った。
「これからも新たな科学技術を利用した捜査手法ができて、必ず人権とのバランスが問題になる。その時は今日の判決を尊重してほしい」と話した。(阿部峻介)
■各地の裁判関係者「画期的」
GPS捜査の是非が争われた各地の裁判の関係者からも、判決を歓迎する声が相次いだ。
奈良地裁葛城支部で窃盗事件の裁判を担当する青木啓靖(たかやす)弁護士は
「画期的な判決。GPS捜査は任意捜査だと決めつけ、使い続けた警察は非難されるべきだ」と話した。
張り込みや尾行に比べ、人間関係や思想などの内面まで知られる恐れがあると問題視する。「プライバシー権を侵害すると認めた影響は大きい」
東京地裁立川支部で公判中の窃盗事件で弁護人を務める松本和英弁護士は、新たな立法が必要と指摘した点に着目。「ここまで踏み込むとは思っていなかった」という。
ただ、渡邉祐太弁護士は「今後の捜査への抑止にはなると思うが、これまでの捜査分は事実上、追認されないか」と指摘。「GPSを使える要件を細かく定め、他の手法で代替できない場合に限るべきだ」と話した。
愛知県警にGPS端末を取りつけられた男性の代理人だった金岡繁裕弁護士は「憲法に忠実で、GPS捜査が監視社会の入り口になることをよく理解した判決だ」と評価した。
最高裁は立法措置の必要性に言及したが、過剰な監視を防ぐ条件付けが不可欠となり、立法のハードルはそもそも高いとみる。「判決は、GPS捜査そのものを無効化したとも言える」と話した。
水戸地裁での裁判で、窃盗罪で有罪判決が確定した男性の弁護を務めた有馬慧弁護士は「プライバシーを優先する判決が出てホッとした。私的領域に『侵入』されない権利は新しい解釈。何が含まれるかは今後の議論が必要だ」と話した。
◇
〈指宿信・成城大教授(刑事訴訟法)の話〉
GPSが犯罪捜査に不可欠なことは明らかな中で、「適法」とする反対意見を述べた最高裁の裁判官は1人もいなかった。
技術の進歩により、知らない間にプライバシーが侵害されうる現代の状況を、最高裁は危機感を持って受け止めたのだろう。今後登場する新しい技術を使う捜査にも、立法による規律を求めるものと言える判決で、高く評価できる。
《太田茂・早大大学院法務研究科教授(刑事訴訟法)の話》
盗難車や偽造ナンバープレートの使用など、尾行逃れ対策にGPS捜査の必要性は大きい。位置情報を継続的に収集・記録する「監視型」の捜査と、尾行の補助手段に限って使う場合とを区別せず、すべて令状が必要とした判決は疑問だ。ドイツでは緊急の場合に事後に令状を取ることを認めている。立法の際にはこうした工夫も必要だ。
㊟警察には痛手の判決。犯罪が多くなる心配もあるが日本の警察は緩くするとでっち上げ事件もやりかねない体質を持っている。
筆者の実経験。週刊誌記者への自分の一言が作り話だったことで、監察官に厳しく糾弾され、その週刊誌記者を引き合わせたのが筆者だと、逆恨みし、事実無根の事件をでっち上げ逮捕させたのだ。
筆者は、検事が、
「俺は7000人以上の取り調べをしてきたが、あれほど気性の激しい男は初めてだ」
と弁護士に口にしたように人一倍気性が激しいから、不起訴に持ち込んだが、大人しい人なら負けてしまう。
詳細は、
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