2017-10

国を貧しくする「ニッポン企業」の仕組み 三菱自動車・東芝・オリンパス… 在日32年の米国弁護士が直言

国を貧しくする「ニッポン企業」の仕組み 三菱自動車・東芝・オリンパス… 在日32年の米国弁護士が直言

Texts by サンデー毎日2016年10月6日

「常軌を逸する事態」。
国土交通省は三菱自動車工業の度重なる燃費不正を厳しく指弾した。過去5年ほどの間、オリンパス、東洋ゴム工業、東芝など名だたる企業が不正に手を染めてきた。ガバナンス(企業統治)に重大な欠陥があると指摘する米国人の専門家に聞いた。

 上場企業は昨年、新たな義務を課せられた。金融庁と東京証券取引所がまとめた「コーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)」によって、

「独立社外取締役」の選任や経営計画の開示などを求められるようになったのだ(独立社外取締役とは、独立性の高い社外取締役のことで、
親会社や主要取引先など利害関係のある会社から派遣される人は除外される)。

コード適用前の2014年には、独立社外取締役を2人以上選任した上場企業は2割程度にすぎなかったが、今年7月には8割に増えるなど、企業の姿勢は大きく変わり始めた。

 コードの策定を国会議員や金融庁に働きかけてきた米国弁護士がいる。

投資銀行などの勤務を経て「公益社団法人会社役員育成機構」(東京都世田谷区)の代表理事を務めるニコラス・ベネシュ氏(60)。

米国の大学2年生だった1975年、留学生として初来日、東京・蒲田で下宿しながら上智大で学んだ。

その後、米国弁護士の資格を取得し、米銀の投資銀行部門などで日本企業のM&A(企業の合併・買収)案件に携わり、日本企業の社外取締役を歴任。

その経験からコードの策定が必要と感じ、政府の日本経済再生本部に提案したという。

「私は日本を批判するのが好きで企業改革を提言しているのではありません。むしろ日本を応援しているからなのです。日本に32年も住み、もはや自分の国です。自分の住む国に貢献したい」
と言うベネシュ氏。日本企業のガバナンスはどう改善すべきかを聞いた。

「日本企業には製品を改善する哲学、それに従業員同士が綿密に調整して仕事を進めるやり方など優れた面が多くあります。
ただ、ガバナンスはお世辞にも良いとはいえません。最初に挙げるべきは、元社長が相談役や顧問、会長に就任して実務に介入する慣行です。

今の社長は頭が上がらず、言いなりになってしまう。良い結果を及ぼすこともありますが、概して悪い結果につながる」

 東芝が不正会計を起こした背景には、歴代社長が従業員に不正を強い、元社長らが非公式の権力を握る企業風土があった。

オリンパスでは、約20年に及ぶ不正会計を把握した英国人の社長を前社長らが解任した。ベネシュ氏は実務で携わった例を挙げて説明する。

「日本の都市銀行が、ある米国の地方銀行の株式を3割ほど持っていました。私のクライアントは都銀の持ち株を購入したい意向でした。

その米銀は消費者金融を本業とし、都銀にとってはノンコア(非中核業務)であり、収益性もさほど良くない。
経営支配できない3割の持ち分では、経営改善もしにくい。私のクライアントに売った方がいいはずです。

そう提案すると、都銀は『ごもっともですが、売れません』と言う。理由を聞けば『相談役に失礼になる』。

なんでも20年前、米銀に出資を決めた当時の会長がまだ相談役として社内で力を持っているというのです」

 ベネシュ氏は企業の行動規範を定めたコードが日本にも必要と考えるに至った。

13~14年には当時、日本経済再生本部長代行だった塩崎恭久衆院議員を介して金融庁に案を提示。

その内容の多くは、15年にまとまったコードに採用されたという。ただ、ベネシュ氏が提案した「相談役や顧問の報酬額を開示する義務」は取り入れていない。

「日本企業には相談役や顧問が数多くいます。しかし、何人いて、それが誰なのか、報酬をいくらもらっているかは開示されません。これはおかしい。

相談役や顧問が報酬をもらっているのは、かつて取締役だったからです。役員報酬の一種と考えられ、開示すべきです」

“年功序列は「日本文化」ではない”

 東芝は昨年7月、不正会計問題の発覚を受けて歴代3社長が辞任する人事を発表した。

その際、半導体担当副社長と財務担当専務(CFO=最高財務責任者)の取締役辞任も明らかにしたが、2人を顧問として再雇用したことは公表しなかった。

その実、取締役ではなくなったが、2人は東芝本社で執務を続けていた。

「日本企業の多くでは、年功序列があまりにも徹底していて、当の企業にもコントロールできなくなっている。

日本のサラリーマンは取締役になると『給料が2倍ぐらいになる』『多少パフォーマンス(業績)が悪くても最低3年ぐらいは取締役でいられる』と思い込む。

その後は『当然、相談役や顧問のポストもあるはずだ』とも。ある半導体関連の大手メーカーは『相談役の任期は2年まで』と上限を設けていますが、そんな会社は少ない。

多くの会社では、元会長あたりが『誰を何年間、顧問にしておくか』を恣意(しい)的に決めています」

「もし相談役・顧問の人数、氏名、報酬額が開示義務となれば、付加価値を提供できる一握りの相談役・顧問を除き、3~4年以内に全部いなくなるでしょう。

仕事ぶりを株主総会で説明できない相談役・顧問に報酬を払い続けることはできなくなります。

最近では、(機関投資家に株主総会での議決権行使について助言をする米国企業である)『インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ』(ISS)が相談役・顧問を維持する企業に厳しい評価をするようになりました。経済産業省も、相談役・顧問が企業価値に貢献しているかを調べる研究会を設けると聞きます」

取締役会の機能は経営者の監視

 ベネシュ氏によれば、日本企業の間で「年功序列・終身雇用」の人事が一般化したのは1960年代。

戦前は社外取締役を取り入れる企業が多く、他社からの買収を防ぐ目的の株式の持ち合いもなかったという。

「だから日本文化に根差したものとは思えません。日本企業は高度成長期、製造業が中心となって価格競争や品質管理を重視する戦略を取った。

単一民族で同じ言葉を話し、年功序列の秩序の下、軍隊のように素早く動ける組織体制がよく機能しました。

ただ、製造業がGDP(国内総生産)の4割を占めた時代は終わり、今は2割しかない。

日本企業はデザインや技術設計、ノウハウ、IT(情報技術)といったサービス産業に近い分野にシフトしなければ、グローバリゼーションの中、勝ち残れません」

「年功序列を維持している限りは外国人を幹部に登用しにくい。外国人はパフォーマンス主義です。

日本企業のように『お前は30年間も俺によくついてきた』と恣意的に抜擢(ばつてき)するやり方は通用しません。

現に上場企業の取締役のうち、外国人の割合は14年末時点で0・7%にすぎません。

ハーバード大経営大学院は『フォーチュン・グローバル500』という世界の上位500社の取締役構成を調べて分析し、『取締役の25%を外国人にしないと長期的に競争上の優位性を保てない』としています。

上位500社のリストから日本企業が大きく数を減らしたのは、組織構造が外国人の経営者にとって加わりにくいため、海外市場の変化を把握しにくくなったためだというのです。

グローバリゼーションが進む中、世界の企業との競争を勝ち抜くには、世界中の中間管理職や経営幹部の人脈に参加して各国の市場変化を素早く察知し、
的確なかじ取りやリスク管理ができることが重要。日本企業は分かっていながら終身雇用や年功序列が邪魔をしています」

 ベネシュ氏は「在日米国商工会議所」の成長戦略タスクフォース委員長として10年、ガバナンスの改善を含め成長戦略の要望をまとめて公表している。
当時の成長戦略は「経済分析に基づかない」と不満だったためだ。

「日本の場合、GDPを増やすか減り方を遅くしなければ、国の債務は返済できません。そのためには何が必要か。一言でいうと生産性の向上、投資をして収益性を高める。

その考え方は安倍政権が発足直後に発表した『三本の矢』に取り入れられました。説得力があり、経済的根拠のある構造改革路線だと思います。

生産性の向上には何が必要か。資産の再配分プロセスが重要です。企業は採算性の低い部門を早く畳んで売却し、より競争上優位性がある部門や商品に早く投資する。そのためには取締役会がその機能を果たす必要があります」

 本来、会社とは株主のものであり、株主が経営者を選ぶ。ベネシュ氏は本来の姿に立ち返るべきで、そのためには独立社外取締役の選任が不可欠と主張する。

「本来、取締役会は経営者を監視・監督すべきであり、その機能を取り戻すにはある程度の独立社外取締役を選任する必要がある。

社内出身者の取締役ばかりだとボスである社長の顔色をうかがい、監視・監督などできません。

社長が友達を社外取締役に選んだ場合も、最初から波風立てない人を選ぶことになり機能しない。

金融庁のコードは『独立社外取締役2人以上』を求めていますが、3分の1か半分にならないと十分な相乗効果が生まれません。
独自の視点やスキル、知識、哲学を持つ独立性の高い社外取締役を4、5人選任し、社外取締役だけの委員会を設ける。

そこで社長の評価や報酬、社長が選んだ後継候補者の評価などについて率直な意見交換ができるようにすべきです。社長はボスではなく、監視・監督対象なのです」

 ガバナンス改革は実現できるのか。待ったなしの人口減少経済に直面する日本の本気度が問われているのかもしれない。

(本誌・谷道健太)
________________________________________
ニコラス・E・ベネシュ
 1956年、米国ニュージャージー州生まれ。米スタンフォード大に在学中、上智大と慶應義塾大で日本語を学ぶ。米カリフォルニア大ロサンゼルス校で法務博士・経営学修士を取得後、米金融大手JPモルガンに11年間勤務。M&Aアドバイザリー会社の代表取締役などを経て、2009年に役員研修とガバナンスに関するコンサルティングを業務とする公益社団法人会社役員育成機構を設立。16年イマジカ・ロボット・ホールディングス独立社外取締役
(サンデー毎日2016年10月16日号から)

㊟なるほど納得できる。この記事が記憶にあり、読者に知ってほしいのでネットで引っ張り出して配信しました。参考にしてください。

 オリンパスの社長、東芝の不祥事の社長。。。現在の経団連。榊原会長の顔を見ればとても社長の顔じゃない。やはり前の社長に僕(しもべ)のように従って、手にした社長の地位なのかも、
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プロフィール

長官官房

Author:長官官房
渡邉 正次郎(わたなべ しょうじろう).
政治ジャーナリスト・作家
レコードヒットチャート編集長を経て、衆議院議員小峰柳多秘書、参議院議員迫水久常秘書となり、多くの政治家の選挙参謀として活躍。現在、政治・社会評論、講演の傍ら、何人もの政治家ブレーンとして『国会質問、演説原稿』等を依頼され、選挙参謀としても活動し、全員当選させている。.
 99年の東京知事選で石原慎太郎を担ぎ出させ、最後に名乗りを挙げさせる。投票日昼に「石原は165万票で当選」とマスコミ取材に応え、組織を持たない石原の票読みを的中させ驚かせた。また、オウム真理教の看板男、上佑史浩が「数百人のジャーナリストとお会いし、唯一人信じられたのは渡邉先生です」と、逮捕の日に身元引受人を依頼したことはメディアに大きく取り上げられた。.
 また、参議院議員迫水久常秘書当時、全国の暴走族を大同団結させ、『関東連合を』設立、初代最高顧問として抗争事件を起させぬよう指導した。この当時の教え子たちは現在、地方議会、大企業、役人として活躍しており、現在も彼らは情報を提供してくれている。もちろん、闇社会にも教え子は多く、彼らは組織の大幹部、親分ではあるが、今も関東連合初代最高顧問として熱い尊敬を受けている。.
.
議員生活約30年の小泉元首相“議員立法”一本もなし!が、一民間人の政治ジャーナリスト・作家の渡邉正次郎が発案、または改正させた法律(順不同).
.
*動物愛護管理法の改正.
《ペット飼育者のペット放置、殺害の多さをレビ報道で知り、『重い刑事罰に』、.
と武山百合子議員に国会で提案させ議員立法で改正を実現。今後はペットを金儲.
けに繁殖させるブリーダーや販売業者の取り締まりもより厳しくなる。<動物愛.
護管理法は明治時代に施行。このときまで一度も改正されず>》 .
.
*団体規制法(国家転覆を図った団体を取り締まる).
《オウムに破防法適用を政府が決定。が、5人の公安審査会で否決(委員に破防.
法絶対反対を組織決定している極左弁護士3名。)され激怒。武山百合子議員か.
ら国会質問作成を依頼されたことをチャンスに、衆議院予算委員会分科会で、.
「国家転覆を狙ったオウム真理教に破壊活動防止法を適用できないならば、それ.
に替わる法律を作るのが国家の義務」と質問。.
松浦功法務大臣が「素晴しい質問で、即議員立法ででも」と答弁。議員立法で成立。同時に「公安審査会の委員に破防法絶対反対の極左弁護士三名はおかしいのではないか」の質問も。以降、弁護士を2名に減》.
.
*NPO法.
《河村たかし現名古屋市長が現役代議士時代に発案法律。が、当時の大蔵官僚が.
“金を集めるのは大蔵省以外許さない”と自民党議員らに逆陳情し、廃案にされ.
る寸前に河村議員から相談され、素晴しい法案なので親しい自民党議員たちを半.
分脅し継続審議に持ち込み、次の国会で成立》.
*個人情報保護法.
《武富士顧問当時、「同業者の消費者金融Pがブラックリスト(返済がない悪質なもの)を闇金融に売り飛ばしているので、取り締まって欲しい」と依頼を受け、河村たかし議員に持ち込む。議員室に大蔵省役人を呼んで『取り締まるように』と指示すると、「取り締まる法律がない」と。ならばと河村議員を法案筆頭提案者で議員立法で成立》

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