日本抑止力ゼロ狙い、尖閣の次は沖ノ鳥島、止まらぬ南シナ海問題の余波
Wedge 9月21日(水)12時20分配信
来年の党大会に向けて、中国共産党指導部は国内の“批判の矛先を日本”に向けようとしている。領土を守るためには防衛装備だけでなく、法的な根拠も用意しておかなければならない。
8月5日、中国漁船と中国公船1隻が尖閣諸島周辺の領海に侵入した。その後、一時は最大15隻の中国公船が同時に接続水域を航行、延べ36隻が領海に侵入し、関係者の間に緊張が走った。
8月1日に東シナ海での漁が解禁されたため、尖閣諸島周辺に200隻程度の中国漁船が押し寄せることは想定の範囲内であった。
しかし、警備という名目で15隻もの中国公船が同行し、漁船とともに領海侵入を繰り返すとともに、接続水域内で漁業規制とみられる管轄権行使に当たる行動を取ったことは過去にはなかった。
尖閣周辺に派遣される中国公船は合計26隻が確認されているが、今回はこれまでに確認されたことのないものも含まれていた。
新しく確認されたものは通常中国の沿岸部で警備に当たっている小型船がほとんどであったが、武装していた。
ただ、11日に中国漁船が尖閣諸島周辺海域でギリシャ船籍の貨物船と衝突し、沈没したことは中国にとって痛手となった。
沈没した中国漁船の14人の乗組員のうち6人を救助したのは、現場海域にいた中国公船ではなく、海上保安庁であった。
中国公船は自国の漁船の保護を名目に現場にいたにもかかわらず、自国船の乗組員を救助することができず、結果として、日本が尖閣諸島の周辺海域を有効に管理していることを示すことになった。
なぜ中国はこのタイミングで尖閣諸島に対する主張をさらに強めようとしたのであろうか。おそらく、それには南シナ海問題と中国の国内情勢が絡んでいる。
中国は安倍政権が国際会議などの場で、南シナ海の問題を繰り返し取り上げることに対するいらだちを強めている。
7月に、フィリピンによる南シナ海問題をめぐる中比の仲裁手続きで、中国のいわゆる「九段線」に基づく主張が否定され、フィリピンの圧勝ともいうべき裁定が出た。
中国はこの仲裁手続きを「無効」と主張し、裁定内容も「紙くず」と呼び無視しているが、国内では外交上の失敗に批判が高まっている。
安倍政権が「法の支配」を唱えて、南シナ海問題で中国を批判していることは、中国共産党指導部にとって、傷に塩を塗られたと感じているようなものだ。
8月上旬は、中国共産党の指導者や長老らが集まる「北戴河会議」が開催されるタイミングでもあった。
この非公式の会議は、党大会で党内の対立が露呈するのを避けるための事前調整の場である。
2017年の共産党大会で、習近平総書記、李克強首相以外の常務委員5人が交代するが、この会議で指導部人事や重要議案の内容がほぼ固まるとされている。
8月上旬に中国が尖閣諸島に政府公船を集中させたのは、この「北戴河会議」で指導部が突き上げられないよう、中国国内向けに実効支配を強化していることを一時的にアピールするためだったと考えられる。
習近平指導部は国内の権力を固めるために、反腐敗運動を強行し、周永康元中央政治局常務委員をはじめ、政敵を失脚させてきた。
だが、来年の党大会に向けて、指導部としてはさらに足元を固める必要がある。そのような中、中国はとりわけ日本との関係には敏感になっている。
南シナ海での失点を覆い隠すように、中国では仲裁手続きを始めたフィリピンと並んで、日本を批判する論調が高まっている。
つまり、中国国内の批判が習近平指導部に向かないようにするため、中国外交が失敗したのではなく、「部外者」である日本が南シナ海問題を複雑にしているという虚構を作り上げようとしているのである。
国連海洋法条約に基づく中比の仲裁手続きでは、最終的に仲裁裁判の判事を国際海洋法裁判所の裁判長が選ぶことになっているが、それが偶然日本人の柳井俊二氏であったことも中国の日本批判に利用されている。
8月下旬には、王毅外相が日中韓外相会談のため来日を予定していたため、その前に日本に対して弱腰と言われないため強気の姿勢を示しておく必要もあったのであろう。そのためか、1週間ほどで中国公船の数は減少した。
「3・3・2方式」から「3・4・2方式」へ
しかし、その後の領海侵入にはこれまでとは異なるパターンが見て取れる。
12年9月に日本政府が尖閣諸島の3島を民間の地権者から購入した後、中国はしばらくの間、
中国公船の尖閣周辺への派遣を激増させたが、次第に公船の数と領海侵入の頻度が安定し、毎月3回、3隻の政府公船が2時間領海に侵入する「3・3・2方式」に落ち着いていた。
これが、中国が26隻態勢で断続的に日本の実効支配に挑戦する上で持続可能なパターンなのだと考えられていた。
だが、8月以降、領海侵入は4隻が2時間行うようになっており、少なくとも「3・4・2方式」への変更を試みているようにみえる。
これは、中国が常態的に尖閣諸島の主権をめぐって日本への挑戦のレベルを一段階上げることを意味する。
場合によっては、より領海侵入の頻度を上げ、「4・4・2方式」としてくるかもしれない。そうすることで、中国はこれ以上日本が南シナ海問題に介入してくることを牽制しようとしているのであろう。
だが、日本にとって南シナ海問題は海上交通路として、そして何より海洋法秩序の維持という観点から極めて重要な海域である。
南シナ海で中国の一方的な現状変更を容認すれば、海洋法秩序が崩壊し、それは東シナ海問題をより悪化させることにもなる。
このため、日本は毅然と南シナ海問題でも法の支配を主張するべきである。そのためには尖閣諸島・東シナ海で中国の挑戦に有効に対処していかなければならない。
日本は東シナ海における中国の挑戦に対処するため、「統合機動防衛力」構想の下、陸海空自衛隊による南西諸島防衛を強化してきた。
また、平和安全保障法制の制定と日米防衛協力のための指針(ガイドライン)の改定により、日米同盟の抑止力も強化した。
それでも、6月には中国艦船が初めて尖閣諸島の接続水域を航行する事案があったし、4月から6月に航空自衛隊が行った対領空侵犯措置(スクランブル)は199回と前年度同時期と比べて大幅な伸びを示した。
このため、引き続き、南西諸島周辺における警戒監視や対艦・防空能力の向上、高速揚陸艇の導入などによる陸海空統合輸送力の一層の強化が求められる。
中国軍との不測の事態を避けるための「海空連絡メカニズム」の早期運用も不可欠だが、日本が公海とその上空での運用を提案したところ、中国が同メカニズムを尖閣の領海・領空でも適用することを主張し、合意できていない。
海空を切り離して、「海上連絡メカニズム」を先行させるなど、異なる発想が必要であろう。
より喫緊の課題は、グレーゾーンにおける危機管理である。東シナ海において、軍事バランスは依然日米に有利な状況が続いている。
このため、中国は軍事的手段ではなく、漁船や海上民兵、政府公船を利用し、グレーゾーンにおいて日本への挑戦を続けている。
海上保安庁は巡視船12隻からなる尖閣専従態勢の運用を開始した。
だが、これは常時3隻の中国公船を監視するための数であり、中国側が「3・3・2方式」をさらに高めてくるのであれば、海上保安庁もさらに増強する必要がある。
中国の海上民兵の実態は不明な点がまだ多いが、その動きにも注意が必要である。
おそらく、今回中国公船と一緒に領海に侵入した漁船は海上民兵によるものであったと考えられる。
他方、今回尖閣に大量に押し寄せた漁船の乗組員の多くは、内陸部から浙江省や福建省に出稼ぎにきた農民で、船の扱いにも慣れておらず、不測の事態を起こす可能性が高い。
中国だけでなく米国にも理解されない海上警備行動
グレーゾーン対処に関して慎重に議論するべき点は、海上警備行動または治安出動による自衛隊の投入である。
事態が海上保安庁の能力を超えた場合、海上警備行動を発令し護衛艦を派遣することになり、昨年その発令が電話閣議で迅速に行えることになった。
ただ、これは国際的な慣行ではなく、あくまで日本国内の手続きであり、日本が自衛隊を先に出せば中国が軍艦を出す格好の口実を与えてしまう。
海上警備行動については米国でも理解が広がっておらず、日本に慎重な対応を求める声が依然多数を占めている。
このため、グレーゾーン対処は海上保安庁による対応を優先するべきである。
他方で、自衛隊法を改正し、平時から護衛艦が海上保安官同乗の下で領海警備をできるようにし、まずは尖閣周辺以外の海域で、常日頃から海上保安庁のすぐ後ろに護衛艦がいる実績を積み重ねていくことが望ましい。
東シナ海では、尖閣諸島の問題だけではなく、中間線付近での中国の一方的な資源開発の問題もある。
また、日本全体に視点を広げれば、北方領土、竹島、小笠原諸島沖でのサンゴ漁、日本の排他的経済水域(EEZ)内への北朝鮮の弾道ミサイルの着水など、海の国境周辺で問題が山積している。
なかでも最も深刻なのが、沖ノ鳥島である。
中比の国際仲裁判断は当事国のみを拘束するとはいえ、国連海洋法条約における「島」と「岩」の基準を、中国が沖ノ鳥島を「岩」と主張してきたことに何度も言及した上で示した。
特に、スプラトリー諸島で最大の太平島にも「岩」との判断が下されたため、日本も沖ノ鳥島を「島」とする主張を改めるべきだという論調が国際的に出始めている。
国連海洋法条約では、島はEEZおよび大陸棚の基点となり得るが、岩では領海を主張することしかできない。
仮に沖ノ鳥島が「岩」になれば、約40万平方キロメートルにおよぶ広大なEEZを失うことになる。
中比仲裁判断では、「島」の基準について、自然の状態で、人間が集団で生活でき、資源採取以外の経済活動を外部の支援なしに行えることとしている。
この基準では民間人の住まない離島はほとんど「岩」になってしまう。この基準を厳格に当てはめるなら、沖ノ鳥島だけでなく、南鳥島など他の離島もEEZの基点とはなれない。
沖ノ鳥島を「島」として守るため、日本は「独自の経済的生活」を維持できるよう沖ノ鳥島の特徴を活かす必要がある。
サンゴの再生研究や波力発電の研究、沖ノ鳥島が地質学上の「不動点」であることを活かした海面上昇の定点観測などを行って、島である根拠を積み重ねることが必要である。
㊟この意見にまったく同感。やはり我が国も再軍備を急ぎに急ぐべき。
そして18歳以上の男女に徴兵制を敷き、2年間自衛隊入隊させ、一年間、尖閣防衛隊として勤務させる。
筆者も徴兵制を政府と与党に強く働きかけ、『戦争反対』のシールズ諸君とその支援左翼政党議員と支持者を摘発し、国土防衛先人隊として尖閣に派遣するよう申し入れる。
シールズ諸君、喜べ。これで平和が来るぞ
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