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2021-04

「スピード感をもって」?国語力疑わしい菅


「スピード感をもって」とは?国語力疑わしい菅首相
JBプレス青沼 陽一郎
2021/02/28 11:00
(作家・ジャーナリスト:青沼 陽一郎)

 放送事業関連会社の「東北新社」に勤める息子が利害関係のある総務省幹部を接待していた問題は、ついには“お気に入り”とされる山田真貴子内閣広報官が総務審議官時代に7万円を超える接待を受けていたことが発覚して、膝元にまで飛び火した菅義偉首相。

いつの間にか息子が政権にダメージを与えている様を見て、ギリシャ神話のエディプス王が頭に浮かんだ。父王に捨てられたエディプスが、知らないうちに父王を殺し、王となって生母である先王の王妃を妻とする物語だ。フロイトの説くエディプス・コンプレックスに通じる神話で、大きな権力を手にしていく父親に、息子のほうでもどこかでコンプレックスを抱いていたのかも知れない。

違和感多い首相発言

 その菅首相が就任してから、来月で半年になるが、その発言を聞いていると、どうも言葉に違和感を覚えることが少なくない。もっと言えば、自分の話した日本語の意味がわかっているのか、首を傾げたくなる。その言葉を、いくつか指摘してみる。

 まず、菅首相がやたらに使う「スピード感」という言葉。例えば、今年1月の今国会冒頭の施政方針演説でも、はっきりこう述べている。

「まずは、一日も早く(新型コロナウイルスの)感染を収束させ、皆さんが安心して暮らせる日常、そして、にぎわいのある街角を取り戻すため、全力を尽くします。
 未来への希望を切り拓くため、長年の課題について、この四カ月間で答えを出してきました。皆さんに我が国の将来の絵姿を具体的に示しながら、スピード感を持って実現してまいります」

 この「スピード感」という言葉が、内閣の共通認識のように、他の閣僚も使うようになった。最近では、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の橋本聖子会長が就任した直後の会見でも「スピード感」という言葉を用いていた。

 だが、この「スピード感」とは、なにを指す言葉なのだろうか。「スピード感を持つ」とはなにか。

 そもそも「スピード感」という言葉は、辞書にはない。「スピード」と「感」というふたつの言葉をくっつけて成り立っている。「解放感」「至福感」といった具合だ。

 それも「感」という言葉は接続語的に用いて「・・・という感じ」という意味であって、解放された感じ、至極幸福な感じを味合うもので、あくまで個人の感覚を意味している。「スピード感を味わう」というのなら、ジェットコースターや高速列車などに乗った個人の体験になる。「解放感が湧く」と言っても「スピード感が湧く」とは言わない。

「迅速に」ではないのか

 同じように菅首相は「緊張感を持つ」という言葉もしばしば使う。たとえば、小説などを読んでいて、命が危ういような場面で「緊張感が走る」と用いられることがある。ひとりでなく仲間がいる時には、その場の共通認識、空気を表すことはわかる。だが、それもその場の雰囲気のことで「スピード感が走る」なんて言わない。

 あくまで「○○感」とは、結果を受けた状態からくる言葉で、「スピード感」は日本語としてそぐわない。これからの施政において「スピード感を持って実現する」などという言葉使いは、日本語としておかしい。

 仮に、仕事の早い人を「あの人にはスピード感がある」と評するのだとしても、自分から「スピード感を持つ」とは言わない。それだと、傍から見て作業がものすごい遅く感じられても、本人が「スピード感をもってやっています」といえば、言い訳が成り立つ。

 あえて菅首相の意図を汲むのであれば、この場合は「迅速に」のひと言で済む。まして政権を担う人物が常に緊張しているのは当たり前であって、わざわざ「緊張感を持つ」などと口にすることでもない。

「収束」と「終息」、混同していないか

 次に、よく使う「収束」という言葉。施政方針演説でも、新型コロナウイルスについて「一日も早く感染を収束させ」と述べている。因みに「終息」という文字もあるが、官邸のHPで確認すると、菅首相は「収束」をあてはめている。と、するとこの言葉の意味がますますわからなくなる。

 2002年の秋に中国広東省で発生したとされる新型コロナウイルス「SARS(重症急性呼吸器症候群)」は翌03年に中国本土、香港、台湾で猛威を振るったものの、同年7月5日には市中からウイルスが消えたとして、WHO(世界保健機関)が「終息宣言」を出している。この「終息」とは、戦乱や疫病などが絶えてなくなることを意味している。

 ところが「収束」といった場合、混乱していた事態や事件がおさまりをみせることを意味する。これだと、緊急事態宣言を解いたところでも「収束」した、と評価することができる。だが、それでは国民は納得しないはずだ。

 そうすると「一日も早く感染を収束させる」といった場合の「収束」とは、どのような状況や状態を指すのか、さっぱりわからなくなる。「将来の絵姿を具体的に」示していないからだ。ものすごく曖昧に受け流されている。

 ただ聞いている側はいちいち字面を追わないから、「終息」の意味で受けとめているのかもしれない。明らかなミスコミュニケーションが生じていることになる。政府は「ウィズ・コロナ」「新しい生活様式」を標榜するのだから、「終息」の意図はまったくないはずだ。

 ところがここへ来て、本人も「終息」と取り違えているのではなか、と疑いたくなる事情がある。
間違っているのか、あるいは自分に都合よく解釈しているのか
 菅首相はことあるごとに、たとえば施政方針演説でもこう断言している。

「夏の東京オリンピック・パラリンピックは、人類が新型コロナウイルスに打ち勝った証として、また、東日本大震災からの復興を世界に発信する機会としたいと思います」

 20日未明、主要7カ国(G7)のオンライン首脳会議(サミット)を終えたあとの菅首相は、記者団にこう述べている。

「東京オリンピック・パラリンピックでありますけれども、今年の夏、人類がコロナとの戦いに打ち勝った証として、安全・安心の大会を実現したい、そうしたことを私から発言いたしまして、G7首脳全員の支持を得ることができました。大変心強い、このように思っています」

 ところが、外務省がHP上で公表している「G7首脳声明」を見ると、末尾にたった1文でこうあるだけだ。

We resolve to agree concrete action on these priorities at the G7 Summit in the United Kingdom in June, and we support the commitment of Japan to hold the Olympic and Paralympic Games Tokyo 2020 in a safe and secure manner this summer as a symbol of global unity in overcoming COVID-19.

 併載されている外務省の「仮約」はこうだ。

《我々は、6月の英国におけるG7サミットにおいてこれらの優先事項についての具体的行動に合意することを決意し、新型コロナウイルスに打ち勝つ世界の結束の証として今年の夏に安全・安心な形で2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を開催するという日本の決意を支持する》

 菅首相が言うように「東京オリンピック・パラリンピックは、人類が新型コロナウイルスに打ち勝った証」ではなく、「新型コロナウイルスに打ち勝つ世界の結束の証」として、あくまで「日本の決意」がG7に支持されているだけだ。

打ち勝った結果ではなく、未来への結束の証としているのだから、まったく意味が違う。菅首相は、自分の言葉を誤っている。あるいは、都合よく勝手に解釈している。

言葉明瞭、意味迷妄

 組織委員会は25日、来月25日から福島県をスタートする聖火リレーのコロナ対策のガイドラインを発表した。

 そこでは聖火リレーの様子はインターネットのライブ中継を見ること、著名人ランナーは密集対策ができる場所を走ること、沿道などではマスクを着用し、応援は大声ではなく拍手などで行うこと、1日の最後の式典の会場は事前予約制とし、過度な密集が発生した場合はリレーを中断する、などとしている。

 これでは、オリンピックへの気運を盛り上げるために全国をまわるはずが、なんのための聖火リレーなのか、これまた意味がわからない。「打ち勝つ」どころか、新型コロナウイルスに怯えながら、避けて通り過ぎようというだけだ。首相の言っていることと、現場でやっていることが全く違う。

 はっきり言って、日本語の使い方がおかしい。言葉は明瞭であっても、意味が混沌として、時として迷妄している。それでは国民との意思疎通などはかれるはずもない。

 日本の首相であるのなら、もっと日本語を大切にすべきだ。それができないのなら、受け取る側が首相発言の真意を厳しくチェックしないと。コロナ対策でも、東京オリンピックでも、後の祭りでは済まされないのだから。

㊟菅首相、残念ながら教養がなく、知性が乏しすぎ。これは若い時代に本を読まなかったと推測できる。そうか.法政大学の夜間だというから無理ないか。
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プロフィール

長官官房

Author:長官官房
渡邉 正次郎(わたなべ しょうじろう).
政治ジャーナリスト・作家
レコードヒットチャート編集長を経て、衆議院議員小峰柳多秘書、参議院議員迫水久常秘書となり、多くの政治家の選挙参謀として活躍。現在、政治・社会評論、講演の傍ら、何人もの政治家ブレーンとして『国会質問、演説原稿』等を依頼され、選挙参謀としても活動し、全員当選させている。.
 99年の東京知事選で石原慎太郎を担ぎ出させ、最後に名乗りを挙げさせる。投票日昼に「石原は165万票で当選」とマスコミ取材に応え、組織を持たない石原の票読みを的中させ驚かせた。また、オウム真理教の看板男、上佑史浩が「数百人のジャーナリストとお会いし、唯一人信じられたのは渡邉先生です」と、逮捕の日に身元引受人を依頼したことはメディアに大きく取り上げられた。.
 また、参議院議員迫水久常秘書当時、全国の暴走族を大同団結させ、『関東連合を』設立、初代最高顧問として抗争事件を起させぬよう指導した。この当時の教え子たちは現在、地方議会、大企業、役人として活躍しており、現在も彼らは情報を提供してくれている。もちろん、闇社会にも教え子は多く、彼らは組織の大幹部、親分ではあるが、今も関東連合初代最高顧問として熱い尊敬を受けている。.
.
議員生活約30年の小泉元首相“議員立法”一本もなし!が、一民間人の政治ジャーナリスト・作家の渡邉正次郎が発案、または改正させた法律(順不同).
.
*動物愛護管理法の改正.
《ペット飼育者のペット放置、殺害の多さをレビ報道で知り、『重い刑事罰に』、.
と武山百合子議員に国会で提案させ議員立法で改正を実現。今後はペットを金儲.
けに繁殖させるブリーダーや販売業者の取り締まりもより厳しくなる。<動物愛.
護管理法は明治時代に施行。このときまで一度も改正されず>》 .
.
*団体規制法(国家転覆を図った団体を取り締まる).
《オウムに破防法適用を政府が決定。が、5人の公安審査会で否決(委員に破防.
法絶対反対を組織決定している極左弁護士3名。)され激怒。武山百合子議員か.
ら国会質問作成を依頼されたことをチャンスに、衆議院予算委員会分科会で、.
「国家転覆を狙ったオウム真理教に破壊活動防止法を適用できないならば、それ.
に替わる法律を作るのが国家の義務」と質問。.
松浦功法務大臣が「素晴しい質問で、即議員立法ででも」と答弁。議員立法で成立。同時に「公安審査会の委員に破防法絶対反対の極左弁護士三名はおかしいのではないか」の質問も。以降、弁護士を2名に減》.
.
*NPO法.
《河村たかし現名古屋市長が現役代議士時代に発案法律。が、当時の大蔵官僚が.
“金を集めるのは大蔵省以外許さない”と自民党議員らに逆陳情し、廃案にされ.
る寸前に河村議員から相談され、素晴しい法案なので親しい自民党議員たちを半.
分脅し継続審議に持ち込み、次の国会で成立》.
*個人情報保護法.
《武富士顧問当時、「同業者の消費者金融Pがブラックリスト(返済がない悪質なもの)を闇金融に売り飛ばしているので、取り締まって欲しい」と依頼を受け、河村たかし議員に持ち込む。議員室に大蔵省役人を呼んで『取り締まるように』と指示すると、「取り締まる法律がない」と。ならばと河村議員を法案筆頭提案者で議員立法で成立》

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