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2021-04

疫病で鮮明化した中国の脅威


疫病で鮮明化した中国の脅威
コロナで鮮明になった中国の驚異 「制御する態勢が必要」エマニュエル・トッド氏が指摘
AERA2021/01/17 17:00

 バイデン新政権のスタートを目前に、トランプ氏に攻撃されてきたエリートたちは変わったか。コロナ禍で見えた中国の脅威とは何か。AERA 2021年1月18日号でトッド氏が語った。
*  *  *
大野博人:社会の分断が各地で深刻化しています。米国のトランプ氏は国民を統合する指導者の役割を放棄して、分断し続けたように見えました。

エマニュエル・トッド:ちがうと思います。もしトランプ氏がもっと礼儀正しくふるまい、その経済政策がまっとうなものだと人びとに認められれば、むしろ米国社会を統合するのに役立ったでしょう。

 米国社会を分断し解体する脅威はどこにあるか。それは自らを少数者(マイノリティー)たちの政党と定義する民主党の政治の中に見ることができます。

 そこで示されているのは、高学歴で高収入の寡頭支配層の人たち、高等教育は受けたけれど貧しい白人の若者たち、そして黒人、ヒスパニック系、アジア系の大集団などが集まった米国です。これでは統合された社会像になっていません。

 もっとも、こんなきつい言い方をしてはいますが、もし私が米国人ならあきらかに民主党左派の支持者です。サンダース派になっていたでしょうけどね。

■特権層の反省なかった

大野:トランプ氏も意見が一致しない人、官僚やジャーナリストなどを敵と見なしていました。

トッド:あなたが言うジャーナリストや官僚は、米国のエスタブリッシュメントです。申し訳ないけど、トランプ氏が彼らを憎み嫌うのには理由があります。

 だって、彼の大統領就任以来、ニューヨーク・タイムズ紙やワシントン・ポスト紙は批判するばかり。だからトランプ氏もその記者たちを嫌うようになった。これは自然な感情でしょう。

 エスタブリッシュメントを攻撃したからといって、米国社会を分断することにはなりません。彼らこそ大統領から攻撃されて自らを振り返ったでしょうか。振り返らなかった。それが悲劇なのです。今の米国に必要なのは、ほんとうに賢明なエスタブリッシュメントです。

 最良の教育を受けた人たちが、自分の方がトランプ氏より米国民にとって何が良いのかを判断する権利があると考えるとしたら、それはちがうでしょう。

 ふつうの人びとを民主主義への脅威と見なす人は、エリート主義的な情念から民主主義の理念そのものを破壊することになるのです。米国のエスタブリッシュメントの振る舞いは非民主的だったと思います。

 それに民主主義がいつもクリーンなわけではありません。すでにその始まりにおいて、他者排斥の要素を含んでいました。特定の人たちが自分たちだけでつくり上げる仕組みです。だからほかの人たちに対抗する。

 たとえば米国は米国人のものだと考える。それは、地球という惑星全体にとってすばらしい考え方ではないでしょう。でもそうやって民主主義はできた。

 そんな民族単位の民主主義はいやだ、普遍的な帝国を支持する、ローマ帝国やワシントン・コンセンサスの方がいい、グローバルなエリートによって統一される世界を支持する、と主張する権利はあります。けれども、そうやって統合された世界は、民主主義ではない。寡頭制です。それを民主主義だと嘘を言ってはいけません。

大野:グローバル時代の政財界の指導者やエリートが集まって世界にご託宣をたれる「ダボス会議」を思い出します。

トッド:そのとおり。あそこに集う人たちは、自分たちこそ最良の世界を代表していると思っているかもしれません。けれど、それが民主主義だという権利はまったくありません。

大野:あなたの米メディア批判を聞きながら、新聞記者だった自分のことを考えました。

トッド:あなたを批判するつもりはありませんよ。私自身も7年間、ルモンド紙の文化面の仕事をしたことがある。記者の世界はよく知っています。

 友人が記者たちをまるで化け物みたいに非難するのを聞いて、言い過ぎだとたしなめたこともあります。批判するのはシステムとしてのメディアです。
 
■コロナに強い全体主義

大野:さてコロナ禍に関して、あなたは中国に批判的です。ウイルスの発生源だからですか。

トッド:コロナ禍によって、中国の脅威、とりわけ民主主義と自由への脅威がはっきりしたからです。

 コロナ禍で、日本やドイツは比較的うまく対応しました。社会秩序がしっかりしていますから。中国は、その日独よりもっと秩序だっていました。全体主義体制だからです。その結果、危機に対して備えができているのは、全体主義システムの方だということになりました。

 私たちは挑戦を受けているのです。歴史はひょっとしたら、全体主義国が持っている武器を民主主義国が持ち合わせていないという時代に入りつつあるのかもしれないからです。

 ちょっと1930年代に似ています。ヒトラーのドイツや軍国主義の日本、スターリンのソ連など全体主義的国家の方が、態勢が整っていました。うっとうしい話です。今はその違いが当時ほど劇的な意味は持たないでしょう。でも、全体主義国家の方が危機には強そうです。

 また、医薬品をはじめ物資の供給という点でも、中国への依存度の大きさに気づかされました。そして自由への脅威。中国は新しいテクノロジーで監視社会の体制をつくりつつあります。受け入れがたい。

 中国を制御する態勢が必要です。コロナ禍は、その意識の高まりを世界で加速することになるでしょう。

 ここでいっておきたいのですが、これこそトランプ氏の歴史的な勝利です。中国は問題だと言い出したのは彼なのです。

大野:中国の脅威を押し返すには何が必要ですか。

トッド:米国には、ロシアと敵対するのをやめて中国から引き離す戦略に転じてほしい。

 ロシアは、日本と同じように中国に脅威を感じています。そのことを理解しなければいけません。もし、優れた米国の大統領がロシアと友好的な関係を結べば、中国から最先端の軍事技術を遠ざけることができます。

 ただ私は中国が世界を支配する国になるとまでは思っていません。中国の優位は一時的でしょう。
 
■大国でも国内は脆弱

大野:中国が人口動態上の弱みを抱えているからですか。

トッド:そうです。中国は14億という巨大な人口を擁しています。しかし、急速に高齢化しつつあります。これまでは生産年齢人口に恵まれましたが、その人たちが社会保障制度も整わない中で老いていきます。

 状況をさらに深刻にしそうなのが伝統への回帰です。人びとはたくさん子どもを持たなくなったけれど、持つ場合は男の子の方をほしがり、性による選択的中絶をしています。その結果、たくさんの中国人男性が結婚できなくなるでしょう。

 他方、教育面をみると、高等教育まで受けるのは15%くらい。ほかの先進国よりまだ低い。けれども巨大人口の15%です。たいへんな数になります。

 だから中国は二つに引き裂かれています。高い学歴を持つすごい数の人材によって世界レベルで行動しながら、国内では不均衡に苛(さいな)まれている。外では大国、内では脆弱(ぜいじゃく)なのです。

大野:中国共産党が全体主義的な体制を強化しているのは、国内に抱える問題への批判や不満が噴き出すのを恐れて抑え込もうとしているからでしょうか。

トッド:家族構造と社会の関係を分析してきた人類学者としての視点でいうと、中国の全体主義的な体制は単に悪い指導者がいるからという話ではないのです。中国人自身も教育による伝統などの継承によって、権威主義的な気質を身につけています。

 それは共産党とは関係ありません。共産党や軍や警察はその恩恵に浴していますが、体制を創造したわけではないのです。

 その起源を探ろうとすれば、紀元前200年から紀元後200年ごろの中国での共同体的な家族構造の登場にまで遡(さかなぼ)る必要があります。(一部敬称略)
(構成/ジャーナリスト・大野博人)
※AERA 2021年1月18日号

㊟私の考えと殆ど同じなので大変嬉しい。多くの人達に是非読んでほしい。
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プロフィール

長官官房

Author:長官官房
渡邉 正次郎(わたなべ しょうじろう).
政治ジャーナリスト・作家
レコードヒットチャート編集長を経て、衆議院議員小峰柳多秘書、参議院議員迫水久常秘書となり、多くの政治家の選挙参謀として活躍。現在、政治・社会評論、講演の傍ら、何人もの政治家ブレーンとして『国会質問、演説原稿』等を依頼され、選挙参謀としても活動し、全員当選させている。.
 99年の東京知事選で石原慎太郎を担ぎ出させ、最後に名乗りを挙げさせる。投票日昼に「石原は165万票で当選」とマスコミ取材に応え、組織を持たない石原の票読みを的中させ驚かせた。また、オウム真理教の看板男、上佑史浩が「数百人のジャーナリストとお会いし、唯一人信じられたのは渡邉先生です」と、逮捕の日に身元引受人を依頼したことはメディアに大きく取り上げられた。.
 また、参議院議員迫水久常秘書当時、全国の暴走族を大同団結させ、『関東連合を』設立、初代最高顧問として抗争事件を起させぬよう指導した。この当時の教え子たちは現在、地方議会、大企業、役人として活躍しており、現在も彼らは情報を提供してくれている。もちろん、闇社会にも教え子は多く、彼らは組織の大幹部、親分ではあるが、今も関東連合初代最高顧問として熱い尊敬を受けている。.
.
議員生活約30年の小泉元首相“議員立法”一本もなし!が、一民間人の政治ジャーナリスト・作家の渡邉正次郎が発案、または改正させた法律(順不同).
.
*動物愛護管理法の改正.
《ペット飼育者のペット放置、殺害の多さをレビ報道で知り、『重い刑事罰に』、.
と武山百合子議員に国会で提案させ議員立法で改正を実現。今後はペットを金儲.
けに繁殖させるブリーダーや販売業者の取り締まりもより厳しくなる。<動物愛.
護管理法は明治時代に施行。このときまで一度も改正されず>》 .
.
*団体規制法(国家転覆を図った団体を取り締まる).
《オウムに破防法適用を政府が決定。が、5人の公安審査会で否決(委員に破防.
法絶対反対を組織決定している極左弁護士3名。)され激怒。武山百合子議員か.
ら国会質問作成を依頼されたことをチャンスに、衆議院予算委員会分科会で、.
「国家転覆を狙ったオウム真理教に破壊活動防止法を適用できないならば、それ.
に替わる法律を作るのが国家の義務」と質問。.
松浦功法務大臣が「素晴しい質問で、即議員立法ででも」と答弁。議員立法で成立。同時に「公安審査会の委員に破防法絶対反対の極左弁護士三名はおかしいのではないか」の質問も。以降、弁護士を2名に減》.
.
*NPO法.
《河村たかし現名古屋市長が現役代議士時代に発案法律。が、当時の大蔵官僚が.
“金を集めるのは大蔵省以外許さない”と自民党議員らに逆陳情し、廃案にされ.
る寸前に河村議員から相談され、素晴しい法案なので親しい自民党議員たちを半.
分脅し継続審議に持ち込み、次の国会で成立》.
*個人情報保護法.
《武富士顧問当時、「同業者の消費者金融Pがブラックリスト(返済がない悪質なもの)を闇金融に売り飛ばしているので、取り締まって欲しい」と依頼を受け、河村たかし議員に持ち込む。議員室に大蔵省役人を呼んで『取り締まるように』と指示すると、「取り締まる法律がない」と。ならばと河村議員を法案筆頭提案者で議員立法で成立》

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