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2021-04

「ぼったくりタクシー天国」に今起き

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「ぼったくりタクシー天国」に今起きている変化 流転タクシー第5回、アプリとコロナの"熱波"
東洋経済オンライン栗田 シメイ
2020/08/18 07:30

 「ヘイ、ジャパニーズ。タクシー!ベリーチープ!」

 マクタン・セブ国際空港を出てタクシー乗り場に向かうと、大勢の客引きが声をかけてくる。彼らは外国人観光客を相手に少しでも高い料金で乗車させようという、いわゆるぼったくりタクシーだ。これはフィリピンに限らず、東南アジアの国際空港では見慣れた光景でもある。

 現在では所定のタクシー乗り場で通常料金で利用できるタクシーが一般化され、事前にタクシーカウンターで指定料金を支払い乗車が可能となるなど、年々整備は進む。その半面、いまだカモを狙った客引きが途絶えることはない。

言い値は通常料金のほぼ倍額

 3月初旬はセブでは乾季にあたるシーズンで観光客も多い。平日の22時を過ぎているにもかかわらず、わずか数百メートルを歩く間に、10人以上が交代で絶えず声をかけてくる。

 通常であれば辟易する場面だが、取材となれば意味合いが変わってくる。彼らの言い分はすべて同じだ。

 「ナウ、ベリー、トラフィックジャム」

 つまり夜間で渋滞が激しく、通常料金のタクシーを利用するよりも固定料金でいくほうが割安だ、というのが彼らの主張だ。

 言い値は750ペソ(約1610円)。交通渋滞があっても、初乗り40ペソ(約83円)のセブ島では、通常なら400ペソ(860円)程度で市内中心部には到着する。この差額分が彼らの取り分でもあり、仲介した客引きにマージンとしても支払われる。

 声をかけてきた客引きにドライバーが200ペソ(約432円)を筆者の目の前で渡すという粗雑さは、その露骨さに思わず笑ってしまう場面でもあった。

 数ある車の中から選んだのは、鼻歌を交じりに爆音でフィリピン音楽をかける陽気な運転手だった。清掃が行き届いたトヨタの4WD車を駆使し、聞けば主に東アジア系の旅行者やビジネスマンを顧客としているという。

 あなたは日本人と韓国人のどちらか?とこちらに確認すると、エリック・ベネリソ(43)は車を走らせた。

 「俺がタクシードライバーを始めたのは、5年前。ちょうど英会話学校が続々とセブ島にできていてね。韓国人の留学生や企業がセブ島に続々と進出し、セブにコリアンマネーが流れ込んでいた時期だった。当時から今に至るまで、韓国人を乗せない日がないというくらいだね。

 セブはもともと日本人のほうが多いくらいだったけど、今ではすっかり韓国人が多くなった。留学生向けの学校は日本と韓国を合わせて200校近くあるくらいだ。ただ、誤解がないようにいえば、実は俺は韓国人の乗客があまり好きじゃないんだ。

 彼らはしつこく値引き交渉してくるし、長距離の移動でオスロブ(ジンベイザメウオッチングができる人気スポット)なんかに行っても、チップも払わない。夜の店ではフィリピン人の女の子との遊び方も汚いし、乗せていてもいい気分じゃない。

 俺はもともとミツミ電機の工場で長く働いていたんだ。だから日本人の親切さをよく知っている。日本人のお客さんはウェルカムだよ」

ドライバーの月収は平均の2.5倍

 エリックに安定した日系大手企業を辞めた理由を尋ねると、金銭的な問題があったと話す。工場で働いていた当時の月収は約1万5000ペソ(約3万2500円)だった。週7日空港を中心に個人タクシーとして働く現在は、月収は平均的に3万ペソ(約6万5000円)を超えるという。

 セブ島のフィリピン人の平均月収が約1万2000ペソ(約2万6000円)程度であることを考えれば、かなりの高所得者に分類される。セブ島において、タクシードライバーは稼げる仕事だ。エリックは続ける。

 「12歳と17歳の子どもが2人いてね。奥さんもパートに出ていたけど、学費や食費などがかかって、当時の稼ぎだけだとギリギリの生活だった。この国の政府は教育に関心がないから、子どもの学校のためにお金が必要だったんだ。俺はアルコールが好きだけど、満足にビールも飲めないくらいの生活だったよ。

 そこで仕事を辞めて旅行会社に勤める友人から仕事をもらい、観光客をメインとしたドライバー業を始めたわけさ。ほかの国やマニラのことはわからないけど、少なくともセブ島ではやる気さえあればドライバーは稼げる仕事だよ。俺の友人にも月に4万ペソ(約8万6000円)を稼ぐなんてやつもいる。

 奥さんも今の仕事に変えてから優しくなったよ(笑)。唯一の不満は、子どもたちと接する時間が減ったことかな。俺は日本語も少し話せるんだ。だから日本人の中には、1日ガイドなんかで声をかけてくれる人もいるよ。そういう時は1日で1万ペソを稼ぐ日もあるんだ」

 30分ほどで目的地であるITパーク周辺のホテルに到着した。あれだけしつこく念押しされた交通渋滞には出くわさなかったという皮肉をぶつけてみたが、「そういう日もあるさ」とエリックは意に介す様子はない。

 「お前がシングル(独身)なら、俺の友達のキレイなフィリピーナを紹介するよ」と言って笑い、トランクから筆者の荷物を降ろして当たり前のようにチップを要求してくる。移動する際はいつでも呼んでくれ、と言うと連絡先が書かれた名刺を渡された。

 彼の行動原理はどこまでいってもマネーというわけだ。 潔いまでの貪欲さに対しては感心が勝り、不思議と腹立たしさは感じなかった。

 前置きが長くなったが、こういった暴利なタクシーに遭遇することは現在のセブ島ではほとんどない。ひと昔前は外国人観光客に対して大なり小なり、金額をふっかけてきたり、改造メーターをいじるなど、細かいトラブルが発生していた。

 ところが、近年ではそういった声は激減している。滞在中に優に20回を超える頻度でタクシーを利用したが、上記のような経験をしたのは冒頭の一度だけだ。

 「規制も厳しくなり、会社や国や州からの注意喚起もある」と、ドライバーとして10年以上働く別の男性は言う。しかし何より、抜本的にぼったくりが減った理由としてはタクシーのIT化が挙げられる。

瞬く間に「Grab」が席巻

 セブ島に住む外国人に限らず、現地人も必ずといっていいほど利用しているのが、シンガポール発の配車アプリである「Grab」(グラブ)だ。フィリピンを含む東南アジア諸国ではこのGrabの勢いはすさまじいものがある。2014年に同国に参入した配車アプリ大手の「Uber」(ウーバー)が、Grabとの競争に破れて2018年に撤退したほどだ。

 地下鉄がないセブ島では、移動手段がジプニー(乗り合いバス)や長距離バス、バイクタクシー、タクシーなどに限定される。観光客や駐在者にとって利用しやすいのは必然的にタクシーとなるわけだ。

 ただ台数は多いにもかかわらず、セブ島では外国人が“流し”でタクシーを止めるのはなかなか骨が折れる。とくに中心部でラッシュ時に乗車する場合、道路端に寄せて停めるスペースも時間的な余裕もなく、ドライバーからの乗車拒否も多い。20年以上前の日本の「タクシーバブル」と呼ばれた時代に類似している、と表現しても大袈裟ではないかもしれない。

 日本や韓国、中国からセブ島を訪れる人々が年々増加していることが、タクシー業界に恩恵をもたらした要因でもある。その反面、観光需要の増加という状況を利用して、不正を働くドライバーも後を立たなかった。ぼったくりの打開策としてもGrabを利用することで、安全かつ安価にタクシー利用が可能となっている。

 このアプリは目的地と現在地を登録し、あとはドライバーが迎えに来るのを待つのみ。極めてシンプルだ。料金も事前に決まり、オンライン上で決済され、チャット上でも細かいやり取りができるので、トラブルになりにくい。現地在住10年の日本人男性が言う。

 「私自身も2013年ごろまではタクシー利用の際に頻発したトラブルが、Grabが浸透してからは起きなくなりましたね。この島に住む外国人だけではなく、現地のフィリピン人も今ではタクシー利用の際は配車アプリを使うほどの浸透度です」

 「セブ島ではエアコンがない、ボロボロのタクシーがあるなど、車ごとの設備に大きな差があり、ドライバーの意識にも同様のことがいえた。現地でもタクシーへの不満が高まっていた中で、配車アプリにより業界自体が少しずつ健全化されつつある。肌感覚では、東南アジアでもセブのシェアは上位だと思います」

 業界大手の日本交通によると、日本における月間タクシー輸送回数約1億回のうち、国内の全配車アプリを合計したシェアはわずか2%程度にすぎないという。現在は日本交通とDeNAのサービス統合により生まれた「MOV」(Mobility Technologiesが運営)がシェアを増やしているが、世界的にみれば配車アプリ市場では日本は後進国に位置づけされる。

 Grabを利用して乗車した際、ドライバーはこんなことを話していた。

 「配車アプリのいいところは、あらかじめ移動場所や時間が読めることだ。セブ島では長距離移動での利用者が圧倒的に少なく、長距離での移動よりもどれだけ多くの回数乗せられるかが重要なんだ。

 もっともGrabが浸透してからは、自家用車で業界に参入してくる人間も多くなった。セブ島は働かない男が多いけど、稼ぎ時とみるや、必死に働くようになったドライバーが増えたかもね。

 日本もそうだけど、とくに韓国からの観光客は配車アプリ利用者の占める割合が年々増えている。乗車割合のうち、半分近くをアプリが占めるといっても大袈裟じゃないかもね。ドライバーにとっても乗客にとっても、お互いに利点があると思う」

収入はコロナ前の10分の1に激減

 近い将来、日本の配車アプリ市場が拡大する可能性は高い。だが、ライドシェアが解禁されていない日本で、セブ島のように業界のIT化が進み、他業種からも参入者が劇的に増えることは現段階では想像しにくい。

 それでもセブ島のタクシー事情は、1つの参考例としては興味深いサンプルになる気がした。利便性や明瞭性に加えて、何より安全であること。ITとタクシーの融合により業界が改善され、今では現地の生活に根付くまでになった。交通機関のインフラ整備が進んだことは、セブ島の観光地としての価値を高める一因となっているともいえるだろう。
【追記】
 セブ島では3月中旬から外出や島外への移動などが著しく制限され、2カ月以上に及ぶロックダウンが実施されるなど、生活は激変している。
 7月末から一部の観光施設が復旧するなど活気を取り戻しつつあるが、外国人観光客が町から消えたことでドライバーたちの働き方も変わった。現地取材の際にSNSでつながったドライバーは、こう嘆息した。

 「観光資源による収入が大きいセブ島が受けたダメージは深刻。タクシーも6月から動き始めたが、2カ月近く収入はゼロだった。友人から聞いた話では日本はマスクが配られたみたいが、フィリピンではコメが配布されたよ(笑)。観光客が戻ってくるのはまだ先だろうし、今年中は同じような状況だろう。ただ悲観しても仕方ないから、気長に待つよ」

 冒頭のエリックによれば、新型コロナウイルスの影響で収入は10分の1まで落ち込んでいるという。

㊟この国もいつまでも後進国のまま。。。未だ女性は海外で春を売り外貨稼ぎのまま・・・もう行くことはないからどうでもいいが。
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プロフィール

長官官房

Author:長官官房
渡邉 正次郎(わたなべ しょうじろう).
政治ジャーナリスト・作家
レコードヒットチャート編集長を経て、衆議院議員小峰柳多秘書、参議院議員迫水久常秘書となり、多くの政治家の選挙参謀として活躍。現在、政治・社会評論、講演の傍ら、何人もの政治家ブレーンとして『国会質問、演説原稿』等を依頼され、選挙参謀としても活動し、全員当選させている。.
 99年の東京知事選で石原慎太郎を担ぎ出させ、最後に名乗りを挙げさせる。投票日昼に「石原は165万票で当選」とマスコミ取材に応え、組織を持たない石原の票読みを的中させ驚かせた。また、オウム真理教の看板男、上佑史浩が「数百人のジャーナリストとお会いし、唯一人信じられたのは渡邉先生です」と、逮捕の日に身元引受人を依頼したことはメディアに大きく取り上げられた。.
 また、参議院議員迫水久常秘書当時、全国の暴走族を大同団結させ、『関東連合を』設立、初代最高顧問として抗争事件を起させぬよう指導した。この当時の教え子たちは現在、地方議会、大企業、役人として活躍しており、現在も彼らは情報を提供してくれている。もちろん、闇社会にも教え子は多く、彼らは組織の大幹部、親分ではあるが、今も関東連合初代最高顧問として熱い尊敬を受けている。.
.
議員生活約30年の小泉元首相“議員立法”一本もなし!が、一民間人の政治ジャーナリスト・作家の渡邉正次郎が発案、または改正させた法律(順不同).
.
*動物愛護管理法の改正.
《ペット飼育者のペット放置、殺害の多さをレビ報道で知り、『重い刑事罰に』、.
と武山百合子議員に国会で提案させ議員立法で改正を実現。今後はペットを金儲.
けに繁殖させるブリーダーや販売業者の取り締まりもより厳しくなる。<動物愛.
護管理法は明治時代に施行。このときまで一度も改正されず>》 .
.
*団体規制法(国家転覆を図った団体を取り締まる).
《オウムに破防法適用を政府が決定。が、5人の公安審査会で否決(委員に破防.
法絶対反対を組織決定している極左弁護士3名。)され激怒。武山百合子議員か.
ら国会質問作成を依頼されたことをチャンスに、衆議院予算委員会分科会で、.
「国家転覆を狙ったオウム真理教に破壊活動防止法を適用できないならば、それ.
に替わる法律を作るのが国家の義務」と質問。.
松浦功法務大臣が「素晴しい質問で、即議員立法ででも」と答弁。議員立法で成立。同時に「公安審査会の委員に破防法絶対反対の極左弁護士三名はおかしいのではないか」の質問も。以降、弁護士を2名に減》.
.
*NPO法.
《河村たかし現名古屋市長が現役代議士時代に発案法律。が、当時の大蔵官僚が.
“金を集めるのは大蔵省以外許さない”と自民党議員らに逆陳情し、廃案にされ.
る寸前に河村議員から相談され、素晴しい法案なので親しい自民党議員たちを半.
分脅し継続審議に持ち込み、次の国会で成立》.
*個人情報保護法.
《武富士顧問当時、「同業者の消費者金融Pがブラックリスト(返済がない悪質なもの)を闇金融に売り飛ばしているので、取り締まって欲しい」と依頼を受け、河村たかし議員に持ち込む。議員室に大蔵省役人を呼んで『取り締まるように』と指示すると、「取り締まる法律がない」と。ならばと河村議員を法案筆頭提案者で議員立法で成立》

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