荒れる新築工事現場 職人や現場監督の不在で施工不良相次ぐ
荒れる新築工事現場 職人や現場監督の不在で施工不良相次ぐ
ポストセブン
いま、一戸建てやマンション・アパートといった住宅の建設現場は、ますます深刻化する人手不足を背景に施工不良や工事の不手際が相次いでいる。「新築」だからといって決して安心してはいけない。荒れる新築工事現場の惨状を、不動産コンサルタントの長嶋修氏が報告する。
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2018年、大手賃貸住宅メーカー、レオパレス21のアパートで屋根裏の界壁がないなどの施工不良が見つかり、火災時の延焼の危険が指摘された。さらに外壁の一部で建築確認申請と異なる仕様の部材を使用していたことも発覚した。
今年に入ってからはダイワハウスによるマイホームやアパートなど約2000棟の新築工事の施工不良問題が世間を賑わせてきたが、このような問題発覚はあくまで氷山の一角で、今日も、あちこちで起きているのが実態だ。
折からの人手不足を理由に、新築工事現場が荒れている。特に引き渡し・引っ越しシーズンに間に合わせようとする2月、3月は現場が逼迫し不手際が頻発したが、昨今は1年を通して工事の不具合や不手際が発生している。
東京都内で実績の多いとあるホームビルダーでは、4棟の建売住宅現場の建設にあたり、大工2名しか確保できなかった。新築一戸建ては通常3か月程度で工事が完了するが、この現場は6か月過ぎた現在でもいまだ工事中だ。ビルダーに焦らされているのか、工事に忘れや雑な個所が目立つ。
同社の問題は大工の確保だけではない。現場監督も圧倒的に足りないのだ。このビルダーでは、現場監督1人当たり20現場も担当しているというのだ。しかし通常、現場監督が過不足なく監理できる現場はせいぜい1ケタ台であり、おそらく、数々の見落としがあるはずだ。同企業に限らず、人手不足に悩むこの業界では、2ケタの現場を担当する現場監督はザラである。
東日本大震災の復興需要や安倍政権の国土強靭化計画に伴う建設需要、東京オリンピック・パラリンピックの開催に伴う建設需要から、高齢化に伴う折からの建設職人不足で、住宅・オフィスビルともに工期の遅れが目立っている。工事現場の機械化など、ほぼ無人で工事が行えるほどのテクノロジーの進展はこの状況を一変させる可能性があるものの、まだ実現には遠いだろう。
2008年のリーマンショックは、なんとか生き延びてきた建設業者にとって大打撃だった。さらに2009年には自民党から民主党への政権交代が起こり、鳩山政権は「コンクリートから人へ」を掲げて公共事業の削減を目指した。建設業者にとってはリーマンショックで資金繰りが悪くなったところに仕事も激減。建設業者の廃業が相次いだ。
そして2011年の東日本大震災。関東圏の建設職人の多くは復興のため東北に行き、関東圏の建設現場は関西圏から建設職人を集めるなど、慌ただしい状況が続いた。
2012年には安倍政権が発足、それまでの民主党政権の方針を転換して公共事業の拡大を宣言。これで人手不足がさらに加速する。2013年には東京オリンピックの誘致が決まるが、この時には建設業者の間で「オリンピックに向けていったい誰が工事をするのか」といった声すらあがった。
従来から建設職人の高齢化が問題視されていた建設業界では、リーマンショックで引退した高齢の職人が再び建設現場に戻ることはなかった。若手も3Kと言われ給与も高いとはいえない建設業に魅力を感じないためか流入がなく、恒常的な人手不足が続いている。
建設業の就業者数は1997年の685万人をピークに、2017年には498万人と3割弱も減少。2019年にはさらに減少しており、この傾向はこの後もしばらく続く。
人手不足は工事の量や質の低下・劣化を生み、建設会社にとっては頭痛のたね。建設職人の高齢化や若年層の不足、リーマンショックやアベノミクスで人手が不足してきた経緯を考えると、オリンピックは要素の一つに過ぎず、建設費の高止まりの大きな要因となり、住宅やオフィスの建設、大規模修繕工事などに今後も大きな影響を与え続ける見込みだ。
こうしたことは業界の構造的問題であるため、大手ハウスメーカーの工事現場であっても確率的に発生しており、どこのハウスメーカーなら安全・安心だとは言いきれないのが実情だ。
新築工事現場には役所の中間検査や完了検査も行われているが、こうした役所の検査は多分に形式的であり、一般に望まれるような、工事の不手際を見抜くようなチェックは期待しないほうがいいだろう。
欠陥住宅をつかむリスクを回避するには、自ら雇ったホームインスペクター(住宅診断士)や建築士などの専門家に、建設工事の節目節目でチェックしてもらうしかない。
多少のコストをかけてでも、設計図通りの建物が間違いなく出来上がることによる欠陥住宅の排除、建物の寿命が長期化することといった安心を買うことをお勧めする。第三者が現場に介入することで工事現場に緊張感が生まれ、忘れや不手際が起きにくくなるといった作用も働く。
ホームインスペクター(住宅診断士)や建築士に依頼する場合は、彼らの実績をチェックしたい。建築の世界は木造・RC(鉄筋コンクリート造)など構造によって専門分野が分かれている。依頼する建物の構造に強いか、そしてその実績を確認したいところだ。
㊟大変な時代になりましたね。 オオ、神はいないぞ。髪は減り続け。
「同日選挙」予告的中しましたが、これはヤクザの稼ぎが増える!!
ヤクザと選挙、山口組の民主党推しや安倍氏宅火炎瓶騒動など
ポストセブン
統一地方選から休む間もなく、永田町は7月の参院選に向けた臨戦態勢に入った。地元企業、労働組合、宗教団体……さまざまな集票組織がひしめく中、政治家が絶対手を出してはいけない“禁断の果実”が暴力団である。だがいけないと知りながら、ヤクザに頼ってしまう政治家は後を絶たないという。ノンフィクション作家の溝口敦氏とフリーライターの鈴木智彦氏が、政治家とヤクザの繋がりについて語りあった。
鈴木:政治家とヤクザは、ちょっと前までは不可分の関係でした。2000年頃かな、住吉会系の事務所の組長にインタビューしてたら、「ピンポーン」とベルが鳴って、若い組員が話してるんですよ。そうしたら組長が今も現役の国会議員の名前を挙げて、その秘書だと。選挙のお願いに来ていたみたいだった。
溝口:暴力団は組員を動かして本来は選挙に行かないような人たちを投票に行かせられる。集票組織として使えるわけです。
かつて六代目山口組が、弘道会(司忍・六代目山口組組長の出身母体)を中心に「民主党を推そう」ということになって、動いたことがあったんです。2007年の参院選の頃でした。
鈴木:ありましたよね。民主党が打診したわけでもないのに、なんであんな動きをしたんでしょう。
溝口:弘道会系のフロント企業(暴力団が経営に関与する企業)と、民主党の支持基盤である企業労組との関係があったんじゃないか。そこで、恩を売るために動いたということだと思います。弘道会なんかは、組員以外にも家出してぶらぶらしているような若者たちに事務所でタダ飯を食わせて組員や周辺層にするといったことを長年やってきた。彼らに住民票を移させて選挙にも動員していた。
鈴木:なるほど。あと、政治家にとってヤクザと付き合うメリットは、裏のお金を融通してもらえるということですよね。
溝口:選挙の時に、いわゆる「実弾」を配るということ。反対に、敵対陣営の選挙妨害にヤクザが使われるケースもある。
鈴木:2000年に安倍(晋三)首相の自宅や事務所に火焔瓶が投げ込まれて、工藤会の組員たちが逮捕された事件がありましたね。
溝口:前年にあった下関市長選で、安倍事務所に依頼されて反安倍陣営への選挙妨害を行なったと主張する地元ブローカーと暴力団組員が、その報酬がないと言って火焔瓶を投げ込んだという経緯が裁判で明らかになった。
鈴木:安倍事務所は関係を否定しています。
溝口:そういえば安倍昭恵夫人と会ったそうですね。
鈴木:俺の書いた『サカナとヤクザ』という本で密漁問題に興味を持ったらしく、話を聞かせてほしいというので会食してきたんです。そうしたら『フライデー』(5月10・17日号)に撮られて「安倍昭恵夫人の『酔いどれ懇親会』がまた始まった」という記事が出てしまって。
溝口:それは貴重な体験だね(笑い)。
鈴木:政治の話は出ませんでしたが、最近も元暴力団幹部が安倍首相や昭恵夫人とイベントで撮ったとされる写真がSNSで出回っていたことは伝えました。真偽は不明だし、ただの記念写真だからそれだけで「黒い交際」となるものでもありませんが。
溝口:そういうケースはよくありますよ。
●みぞぐち・あつし/1942年東京浅草生まれ。早稲田大学政経学部卒。『食肉の帝王』で講談社ノンフィクション賞を受賞。『暴力団』、『山口組三国志 織田絆誠という男』など著書多数。
●すずき・ともひこ/1966年北海道札幌生まれ。『実話時代』の編集を経てフリーへ。『潜入ルポ ヤクザの修羅場』など著書多数。近著に『サカナとヤクザ』、『昭和のヤバいヤクザ』。
※週刊ポスト2019年5月17・24日号
㊟捨てる神あれば拾う神あり?
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